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2014/02/24 子宮頸がんワクチン「いまだ有用だと判断できる情報が存在しない」~厚労省検討部会の判断を弁護士らが厳しく批判

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140224_HPVワクチンに関する厚労省審議会の検討結果を批判する意見書の公表

特集 子宮頸がんワクチン

 薬害オンブズパースン会議が2月24日、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)に関する厚生労働省での審議会の検討結果を批判する意見書を、厚生労働大臣、厚労省ワクチン副反応部会の委員らに送付したとして、厚生労働省で記者会見を開いた。

 薬害オンブズパースン会議は、1997年に発足した民間の医薬品監視団体で、医師、薬剤師、薬害被害者、弁護士、市民らで構成される薬害の防止を目的としたNGOである。

 同会議は、1月20日に行われた厚生労働省のワクチン副反応検討部会が、子宮頸がんワクチンの接種後に起きている全身の痛みや運動障害などの症例を、「心身の反応」であるとの結論でまとめようとしていることは、「恣意的」かつ「非科学的」であるとして、これに反対する意見書を提出した。

  • 記事目次
  • 違法性すら指摘される子宮頸がんワクチン
  • 「心身の反応」とするのは「乱暴な論理」
  • 検討手法に「根本的な誤り」
  • 疫学調査の必要性
  • 定期接種の中止を
  • ワクチンの積極的勧奨「再開すべきでない」
  • 自己決定権を侵害するおそれ

■ダイジェスト動画

  • 日時 2014年2月24日(月) 14:00~15:15
  • 場所 厚生労働記者会(東京都千代田区)
  • 会見者 薬害オンブズパースン会議事務局

 検討部会での審議が恣意的で非科学的であるとした理由について、同会議は以下の4つを挙げている。

  1. 新規ワクチンであるHPVワクチンの副作用が、単一の機序によって生じるという科学的根拠のない前提に立って分析している。
  2. さまざまな症状の原因を検討するにあたり、「心身の反応」以外の仮説に対しては、説明困難な症例等が一部にあるという理由で否定しているのに対して、「心身の反応」仮説に対しては一部に説明困難な症例等があってもそれを認めるという恣意的な論法を駆使し、結論ありきの検討をしている。
  3. 「通常の医学的見地」をもとに判断し、新しい医薬品では既知の知見では説明できない副作用が起きる可能性があることを無視している。過去の数々の薬害の教訓を忘れた検討と言わざるを得ない。
  4. 本格的で科学的な疫学調査を行わず、これまでに得られたいわば氷山の一角というべき副作用に関する情報をもとに全体を論じ、接種との因果関係を否定しようとしている。

違法性すら指摘される子宮頸がんワクチン

 同会議の代表を務める鈴木利廣弁護士は、「(ワクチンを含む)医薬品には、有用性を示す科学的根拠が必要。安全性は予防原則によって判断しなければならない」と主張。その点において、子宮頸がんワクチンは「いまだ有用だと判断できる情報が存在しない」ことから、「そんな状況で患者の自己決定権を保障できるはずがない」として、「このワクチンは、いずれ、違法なものと言えるのではないか」と指摘した。

 「被害に遭った少女たちは、自分たちがワクチンのせいでこうなったのではなく、『あなたたちは、もともと精神病だ』というふうな説明を受けて、より悲しみを深くしている」

 鈴木弁護士は、肉体的な苦しみだけでなく、精神的にも苦しめられている被害者の実相に触れ、定期接種の積極的推奨は「あってはならない」と強く訴えた。

「心身の反応」とするのは「乱暴な論理」

 江戸川大学の隈本邦彦教授は、厚労省の検討部会が副作用の症状を「心身の反応」とまとめようとしていることに対し、実際に副作用が起きた患者を診察した、信州大学の池田修一教授が「さすがに全部心身の反応とまとめてしまうのは無理ではないか」と話したことを紹介した。

 加えて、すべてを「心身の反応」とするのは「乱暴な論理」であると主張し、「ほとんどの薬害は、偉い先生方が会議室に集まってカルテを見て、検討していたら何かが見えてくるというものでは決してない。過去の薬害において、薬が使われなくなると、患者さんがいなくなる、というかたちで立証されるものがほとんどだ」と指摘。

 ごく少数の臨床データだけを検討して「心身の反応」だと決めつけようとする検討部会の姿勢を強く批判した。

検討手法に「根本的な誤り」

 同会議の事務局長を務める水口真寿美弁護士は、提出した意見書について説明するとともに、検討部会による審議の不可解な点を鋭く指摘した。

 「このワクチンは複数の成分から成り立っています。副作用でも(心身の反応という)単一の機序で起きたと考えるのはおかしい。むしろ、それぞれの成分による副作用が起こりうると仮定して、その結果、さまざまな免疫反応が起き、多様な症状の発現につながったと考えることの方が合理的であります」

 検討部会の検討手法に「根本的な誤りがある」と水口弁護士は主張。「結論ありきの恣意的な分析で、自己矛盾がある」とし、「一貫性のない非科学的な検討手法」を採っていると強く批判した。

 「(子宮頸がんワクチンの)サーバリックスについては、全く新しい成分のアジュバントが入っている。人類がこのアジュバントを経験するのは初めてなわけです。ガーダシルは、DNAの断片が残留していることが確認されている(※注)。そういうものが入っているわけですから、未知のことが起きる、既知の知見で説明できないことが起きるということを前提に検討しなければならない。しかし、それをやっていないわけです」

 水口弁護士は、過去に起きたサリドマイドやスモンなどの薬害事件の例を挙げ、「過去の教訓を全く理解していない」と、検討部会の姿勢を非難した。

(※注)残留しているDNAの断片は、これがアジュバントと結合し、深刻な副作用をおよぼす可能性があるという。

疫学調査の必要性

 「HPV(子宮頸がんワクチン)の副作用については、非常に多様で、接種した人がワクチンのせいだと気がつくことが大変難しいという面がある」

 副作用による症状が多岐に渡ることから、子宮頸がんワクチンによる副作用だと気がついていない人が多数いると水口弁護士は主張。さらに、検討部会が用いている症例は、自発報告であるため、実際の副作用の報告件数が不明であることを指摘した。

 「本来やるべきことは、科学的な疫学調査です。因果関係は、個別の症例をいくら見ていても分かりません。これは科学的な疫学調査をして初めて分かることで、それをやらないで、因果関係があるとかないとか言うのは全く非科学的です」

 水口弁護士は、科学的な疫学調査の必要性を訴えるとともに、疫学調査をしていない段階で、ワクチンとの因果関係を否定した検討部会の結論は「不当である」と非難した。

 副作用と考えられている症例について、『エビデンスがない』と検討部会が判断していることに対し、水口弁護士は、「エビデンスを作っていないのはあなたたちでしょうと言いたい。科学者として本来やるべきことをやらないで、こんなに不十分な状況で、なぜ、慌てて接種推奨再開しなければいけないのか」と、厳しく批判した。

定期接種の中止を

 薬害オンブズパースン会議は、1月20日の検討部会の検討手法を批判するとともに、子宮頸がんワクチンの定期接種を中止すべきだと主張。

 その理由は、「予防効果が実証されていない」ことであるとし、効果があるのは「HPV16型・18型の前がん状態を予防することだけである」とし、これについても、確認できているのは、過去9年のデータに限られることを指摘した。

 水口弁護士は、「ワクチンの有効性が非常に不確実で限定的である」と述べ、2010年8月27日に開催された、厚労省の予防接種部会での神田忠仁氏(理化学研究所新興・再興感染症研究ネットワーク推進センター・チームリーダー)の発言を紹介した。

 「HPVワクチンは非常にチャレンジングな、新しいコンセプトのワクチンです。(中略)実際に、血中にどのくらいの抗体価があれば、染み出ていって完全に感染を防げるのか、あるいは女の子に打って、その子がだんだん成熟していって、かなりおばあちゃんになっても、同じように血中の抗体価と並行して粘膜上抗体が出るのかは、データは全くありません。(中略)

 このワクチンは、はしかのワクチンとか、いままでうまくいっているワクチンと同じように、『ワクチン』という言葉でくくってはまずい。新しい概念のワクチンである。その効き方に関して、かなり不明な点が残っていますし、まだ効果の継続性に関しては、データがないというのが実情と私は思っております」

 水口弁護士は、神田氏の発言と合わせて、「いわば実験的なワクチンを、少女たちに打っている」とつけ加えた。

ワクチンの積極的勧奨「再開すべきでない」

 2013年6月、厚労省は子宮頸がんワクチンの積極的勧奨を一時中止する措置をとった。水口弁護士は、厚労省がお勧めを控えた理由として、「十分に情報提供できない状況にある」としていたことを挙げ、現在もこの状況に変わりがないことから、お勧めを「再開すべきではない」ことを改めて強調した。(IWJ・安斎さや香)

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